最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品

1/15/2010

成瀬巳喜男の演出

1966年、晩年の円熟の頂点にあった成瀬巳喜男が発表した大変な問題作『女の中にいる他人』より、夫が妻に告白するシーンをふたつ。



親友の殺された妻の愛人が、実は自分だったことを告白する夫。



ところが第一の告白が真実ではなかったことを告白…。『男の中にいる他人』と言った方が内容からするとふさわしいのではないか、とも思えて来る映画だが、ラストでやっぱり『女の中にいる他人』が浮かび上がる…。

台詞中心の濃密な心理劇になりかねないものを、一見平凡に思える当たり前の空間のなかに人物をどう配置して動かすかで映画的に処理して行く成瀬の演出、見事なものです…。

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